秋の発表会 振り入れの日々

秋の発表会 振り入れの日々

今日から10月。
昨日の大きな台風は日本列島を大縦断して、ようやく温帯低気圧に変わったそうです。
今朝はあちこちにいろんなものが飛び散らかっていました。
私の家の周辺は大きな被害なく、ご近所さんも皆無事でホッといたしました。

10月。
今月から秋冬のシーズンのスタートです。
今月は地方へお伺いさせていただくことが多く、当日ゲネのないお教室さまには事前リハーサルの動画を送ってもいただいたり。
近隣のお教室様へはリハーサルにお邪魔させていただき、全景の動画を通して撮影したり。
何もない準備の時期の「動画」は、本番のための「振り入れ」に大活躍です。

「振り入れ」といっても、完全にコピーはできませんので
大きな流れやイレギュラーな動きや、ここであろう「見せ場」をしっかりと頭にいれること。
そんなざっくりとしたものです。
それでも、これをやるのとやらないのでは本番の写真の質が変わってきますので
お教室のお邪魔でなければ、できるだけこの作業は通しておくようにしています。

特に、本番の日にゲネプロがない場合は撮影もぶっつけ本番です。
動きを知っていてシャッターをきる、ことと。
動きを知らずに予測(または少し見えてから)シャッターをきる、のでは、
本当に微妙ですがタイミングが変わってきます。
動きが一番ベストの時で撮れているときは、細かなその他のことは全く気にならず、そのバッチリのタイミングで撮れた
そのシャープな動きだけが、写真になって目に入ってきます。
動きがベストでなく、「まあまあ」くらいのときは、舞台の照明であったり影であったりフレーミングであったり。
普段気にならないことが気になって、「まあまあ」から抜け出せない1枚に終わってしまいます。
1カットでも多く、「ベスト」の写真を残したいのでざっくりでも、舞台の動きを頭に入れてから本番に臨む気持ちを持ち続けたいなと思います。

ぶっつけ本番で照明もその日に初めて見る、というとき。
緞帳があいてこのセットが組まれていましたら、かなり動揺してしまいます。

その後ろに組まれた平台は何に使うんだろう?
あそこで踊ったら、はたして照明はどのくらい当たってくるんだろう?
舞台前方と台の上で踊った時、どちらの露出を優先させるんだろう??
あの台は、いつ組まれていつ消えるんだろう?

「?」がたくさん並びます。
頭の中の「?」は、不安に変わりますので、その不安な気持ちは必ず本番に現れます。

舞台に立つ方たちと同じように(私たち写真のプロでも)、本番は緊張をします。
それは何度続いても何回やっても、かなりの緊張でかなりの前のめりでファインダーを覗きます。
だって本番は1度きりのことですから。責任は両肩にのっかってきます。けれど、やはりプロである以上はしっかりとした写真を残すことが
私の大事な「役」です。笑顔ニコニコで下っ腹当たりをぎゅっ!と抑えながら踏ん張りたいと思います。

先日、サッカーを見に行った時とても不思議な感覚になりました。
一つは「結果は決まっているのだ」と思って見ていたこと。
いつも「シナリオ」のある撮影をしていますので(コンクールは違いますね)、「終わりのシーン」が頭にあってそこに向かってお話が進んでいくのです。
ですので、サッカーも同じような感覚で眺めていました。
「どっちが勝つかは決まっているから大丈夫!」なんて思ってしばらくぼんやりとしていましたが途中で「いけない!これはドキュメンタリーなんだだわ!」と気づき、と大慌てで応援を始めました。

もう一つは、「どこを見ていいかわからないこと」。
いつも「ファインダー」を覗いて、自分の決めた自分の慣れたフレーミングでものを見ていますので「ど〜ん!」とだだっ広いサッカー場では一体何を見たらいいのかわからず、早々にとっぷりと疲れてしまい。
持ってきてもらった「オペラグラス」からグラウンドを覗いて、ずいぶんと心が落ち着きました。
「よかった。。これで見ていられる。。」と本当に安心しました。
日常にしみついた動きって、ずいぶんと根強いようです。

「?」があると人間は慌てます。
かといって、人間は完璧な生き物ではないですから。
けれど「完璧」に少しでも近づける努力ができるのが人間のちからです。

何を持って「完璧」というのかはわかりませんが
自分が100%信じて「納得」のできるお仕事を提供でいればいいな、と思います。

<バレエ発表会写真撮影>
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